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「菊」という字には、なぜ米が入っているのでしょうか。
「勹(つつみがまえ)に米」は、ひとつかみの米を表し、ここから小さな花びらが一ヶ所に集まって咲く「菊」の字になったそうです。菊と米との関係はそれだけではありません。実は米の中にも“菊の花”があったのです。 酒をつくるのに適した米は酒造好適米、あるいは酒米と呼んでいますが、この種の米は、大粒、軟質で中心部に心白(しんぱく)という組織が粗く、外から白く見える部分があります。この心白を顕微鏡で見ると、なんと大輪の菊の花のかたちをしているのです。

     
 

こういうところから、昭和12年(1937)、愛知県の農業試験場で『菊水』と命名された酒米が誕生しました。(「水」は、酒が水と関係が深いからです。) この米は、古くから名酒米として知られる「雄町」を片親に昭和5年(1930)人工交配し、その後毎年いい苗を選抜して育て上げた品種で、背丈が高いために倒れやすい欠点のある「雄町」を20センチも短くした、品質は「雄町」に勝るとも劣らぬ理想的な酒米でした。 このニュースはたちまち全国の農業関係者に伝わりましたが、この米にいちはやく強い関心を持ったのが新潟県の農業試験場でした。 さっそくこの酒米『菊水』を母親として人工交配を行い、現在代表的な酒米のひとつとして広く使われている「五百万石」が生まれました。 ところが、当の酒米『菊水』は、ある害虫に弱いところから、この米を母に人工交配した新品種「白菊」と交代させられ、昭和20年(1945)にはすっかりその姿を消してしまいました。

     
 

その酒米『菊水』が50数年の眠りから覚めたのです。 清酒「菊水」を造る「五百万石」や「一本〆」などの生産に励んでいる新潟県下の前向きな農業団体「共生の大地 にいがた21」の皆さんの間で、数年前「五百万石」の母親である酒米『菊水』を復活させようという話が持ち上がりました。 菊水酒造の清酒「菊水」を酒米『菊水』で造るという夢への挑戦でした。しかし、いざ作るとなると肝心な種籾はどこにあるのか…。 あちこち探した挙句、ようやく25粒の種籾を手に入れ、丹精の結果、見事に開花、結実、酒米『菊水』は当時のままの姿で立派に復活させることが出来たのです。  「雄町」の持つ独特の風味を受け継ぎ、不祥をはらい、長寿につながる「菊酒」の味と心は…。

     
     
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